SuiがMysticeti v2コンセンサスエンジンをリリース

Suiブロックチェーンは、低遅延と高効率を目指した主要なコンセンサスアップデートにより、取引処理の大規模な刷新を行いました。

概要

• Suiはコンセンサエンジンをアップグレードし、遅延を削減
• 取引処理がより軽量で効率的に
• 新しい送信経路により帯域幅とCPU使用量を削減

Suiは、取引をより高速かつリソース効率的に処理できる新しいバージョンのコンセンサスエンジンを展開しています。これは、ネットワークの基本層の動作を変更することなく実現されています。

このアップデートは、Mysten Labsのエンジニアによって2024年11月6日に発表され、Mysticeti v2が取引の検証を直接コンセンサスプロセスに統合していることを示しています。

ネットワークを通じた取引の流れの変化

Mysticetiは、2024年7月にSuiのメインネット上で最初に導入されたDAG（有向非巡回グラフ）ベースのコンセンサスモデルで、スピードと応答性を重視しています。導入の目的は、取引の提出から確定までの待ち時間を短縮することでした。

最初のバージョンのMysticetiはネットワークの遅延を改善しましたが、Suiの取引処理の一部は依然として事前のコンセンサス検証ステップに依存していました。このステップは制御とセキュリティの観点から理にかなっていましたが、余分な計算を伴い、複雑な取引の確定を遅らせていました。

Mysticeti v2では、その分離を排除。検証とコンセンサスを同時に行うことで、冗長な作業をなくし、非高速パスの取引の確定時間を短縮しています。この変更により、ネットワークは元々のMysticeti設計が目指したパフォーマンスに近づき、多数の取引を同時に処理しつつネットワーク負荷を増やさない状態を実現します。

取引の新しい送信経路

コンセンサスの変更に加え、Suiは取引の送信フローも刷新しています。従来のQuorum Driverはすべての取引を全てのバリデータに送信し、署名の集約を複数回行った後に順序付けを開始していました。これにより高速パスは保護されていましたが、帯域幅とCPUの消費が大きくなっていました。

新しいTransaction Driverは、1つのバリデータにのみ取引を送信し、そのバリデータがネットワークを通じて認証を調整します。署名は個々の取引に付与されるのではなく、コンセンサスブロック内にバッチ処理されるため、帯域幅と計算リソースの使用量が削減されます。

Mysten Labsは、独自およびパートナー運用のフルノードでの早期展開により、特にアジアとヨーロッパで遅延の大きな改善を確認しました。バージョン1.60のノードでは、Mysticeti v2とTransaction Driverがネットワークの標準構成となる予定です。

今後の展望

Mysten Labsは、次の段階として、取引のコミットに必要なメッセージラウンド数の削減、コンセンサスブロックのフルノードへのストリーミングの効率化、特定の実行パターンに見られるオブジェクトレベルの「デッドロック」問題の解決に取り組むと述べています。

これらの変更は、応答性を向上させつつ、Suiの基盤となる柔軟性と所有権に基づく実行モデルを維持することを目的としています。