FRB議長争い:金利引き下げに意欲的な候補者のみ任命!

トランプはケビン・ウォッシュとの会談後、次期FRB議長候補の第一候補としてこの元連邦準備制度理事を公に挙げた。世界で最も重要な中央銀行の支配権を巡る争いは白熱化している。

トランプの目には、FRB議長の座は彼の意志を実行できる「利下げ許可証」に過ぎないようだ。12月13日、トランプはメディアに対し、ウォッシュと会談した後、この元理事が次期FRB議長候補のトップに浮上したと発表した。

彼は以前、FRB議長の明確な選定基準を設定していた:ただ「利下げに前向きな候補者」を任命すること。

一、権力争い

● ジェローム・パウエルFRB議長にとって、任期は不確実性に満ちたカウントダウンに入っている。議長任期は2026年5月に終了するが、理事としての任期は2028年1月まで続く。これにより、議長を辞任しなくても、引き続きFRBの意思決定層に留まる可能性がある。

● トランプとパウエルの対立は長年続いている。今年7月には、『ニューヨーク・タイムズ』がトランプがパウエル解任のための辞表案を作成していたことを報じた。トランプの不満は主に、パウエルの「利下げが遅い」ことや、FRBの「独立運営」原則の堅持に集中している。

● しかし、法律的には米国大統領はFRB議長を自由に解任できない。この制度設計は、金融政策が短期的な政治干渉を受けないようにするためだ。太平洋投資管理のエコノミスト、ティファニー・ウルディングは、トランプは人事任命を通じてFRBの構造を再構築する可能性が高いと指摘している。

二、候補者の争い

このFRB議長争いは、実質的には二人の「ケビン」—ケビン・ウォッシュとケビン・ハセット—の対決だ。

● ウォッシュは、トランプが2017年に検討したFRB議長候補の一人だった。彼はFRB内部での実務経験があり、2006年から2011年まで理事を務めた。一方、ハセットは現在、ホワイトハウスの国家経済委員会のディレクターであり、トランプの中核的経済顧問だ。

● この「忠誠度テスト」において、両候補はトランプ政策と高い整合性を示している。ハセットは公に、「データ次第では、大幅な利下げの余地は十分にある」と表明している。彼はさらに、利下げ幅は「25ベーシスポイントを超える可能性もある」と明言した。

● 一方、ウォッシュは、FRBがトランプの関税政策に過剰に反応していると批判し、関税によるインフレは「一時的なもの」であり、FRBの遅い利下げは「信用を侵食している」と指摘している。

候補者

現在の職位

トランプとの関係

ケビン・ウォッシュ

元FRB理事

長期にわたり支持、2017年に面接済み

ケビン・ハセット

ホワイトハウス国家経済委員会ディレクター

中核的経済顧問、関係は密接

三、政策の主張

● ウォッシュは最近の一連の発言で、ハセットよりも積極的な改革案を提案している。彼は利下げを呼びかけるだけでなく、FRBに「制度改革」が必要だと主張している。彼は、FRB内部の「冗長な人員」が多すぎると批判し、「新しい人材の導入」が必要だと述べている。

● さらに、伝統を打ち破る構想も提案している。すなわち、FRBは財務省と連携し、国債発行の管理について調整すべきだというものだ。彼は、「我々は1951年のように、新しい財務省とFRBの協定を必要としている」と提案している。

この貨幣政策と財政政策のより緊密な連携は、伝統的なFRBの独立性の理念に反する。

● トランプの関税政策に対して、ウォッシュは「理論的な裏付け」を提供している。彼は、「関税はインフレを引き起こさない」と考え、関税による価格上昇も「一時的な価格変動」に過ぎないと述べている。この立場は、多くの経済学者の見解と対照的だ。

● ハセットも利下げを支持しているが、その表明はより慎重だ。彼は、FRB議長の役割は「データを観察し、調整を行うこと」であり、今後6ヶ月の金利動向を事前に公表するのは「無責任だ」と強調している。

四、市場と各方面の反応

● トランプが公にFRB人事に介入したことは、広範な懸念を呼んでいる。民主党上院議員のエリザベス・ウォーレンは、トランプが「操り人形」のFRB議長を任命することを懸念していると明言した。

● ウォール街も同様に不安を抱いている。JPモルガン・チェースのCEO、ジェイミー・ダイモンは、「FRBの独立性は非常に重要だ」と警告し、介入は「しばしば不利な結果をもたらす」と述べている。

● 市場の観点から見ると、FRB議長争いは投資家の行動に影響を与え始めている。富裕層の調査報告は、金利動向の不確実性が市場の見積もりを混乱させていると指摘している。2025年に3回の利下げを予測していたが、9月の最初の利下げの確率は現在21%にとどまっている。

● 米国経済は「三高のジレンマ」に直面している:高い債務(国債規模は37兆ドル超)、高インフレ(コアPCEは依然2.7%)、高評価(S&P500の先物PERは22.2倍)。この状況下で、政治主導の利下げは、1970年代の「大インフレ」の再現を招く恐れがある。

五、歴史的比較

米国大統領とFRB議長の対立は、これが初めてではない。

● 歴史上、リンドン・ジョンソン大統領は、FRBの利上げ政策を巡り、当時の議長マーティンと対立したことがある。リチャード・ニクソン大統領も、当時の議長アーサー・バーンズに圧力をかけ、緩和的な金融政策を維持しようとした。

● しかし、トランプのやり方は、先人たちと本質的に異なる。彼は公に批判しただけでなく、辞表案の起草も報じられており、FRBの独立性に対する直接的な挑戦は「米国史上初」とされる。

● 歴史的な対立とは異なり、トランプはすでに実際に後任候補の選定を始めており、口頭での圧力にとどまらない。1970年代、バーンズはニクソン政権の圧力により大幅に利下げし、最終的に米国は深刻なインフレに陥った。この歴史的教訓は、多くの人々に、現在の政治的干渉に対して一層の警戒心を抱かせている。

12月14日、トランプは再び、金利を1年以内に1%またはそれ以下に維持したいと表明し、自身の「利下げ圧力テスト」のための明確な定量的指標を設定した。

また、FRB議長が金利決定において大統領の意見を求めるべきかと問われた際、トランプは伝統を破る回答をした:「私はずっと成功してきた。私の役割は少なくとも提案を行うことだと思う。」

候補者リストが徐々に明らかになる中、世界の市場はこの権力争いの最終結果を固唾を飲んで見守っている。

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